あれは絶対に食べたい。


「お姉ちゃんの電話、いつも嬉しいから!」


「わかったからって」


電話越しにお姉ちゃんが笑っている。


「ちゃんと買って帰るから」


「ありがとうー!」


「本当に紗雪は、甘いものが好きだね」


少し呆れながら、お姉ちゃんが言う。


甘いものが好きなのはしょうがない。

雑誌とか見ているとつい、スイーツのとこは必ずチェックしてしまう。

そして、お姉ちゃんの出張先の近くのお菓子屋さんとかも調べたりする。

たまーに…… たまにだけど“○○買ってきて”なんて、頼んだりする。


「紗雪?」


「なに?」


「今日はなにか変わったことは、あった?」


真剣味を帯びたお姉ちゃんの声に少しだけ緊張が走る。


「何も無いよ」


「陽斗くんとは?」


「すごくよくしてもらった」


「そっか、よかった」