話し終えた松田さんは、ため息を一つ。

それでもやっぱり、眠そう。


「今日はもう大丈夫なんで、早く休んでください」


「紗雪ちゃんのお皿とか洗うよ?」


「明日もお仕事なんじゃないんですか?」


「朝から」


“朝から”って……。

あたしはその“朝から”って時間が何時からか分からないんですけど?


膝を立てた松田さんは、そこに顔を埋める。


「また明日、来てください。 だから、今日はゆっくり休んでください」


このままだったら…… 松田さんは寝てしまう。

当然だけどあたしは、松田さんを運べる力なんて無いからここで寝られると非常に困る。


“んー、んー、んー”と何度が声を発したかと思うと…… 勢いよく立ち上がった。


「ごめん、紗雪ちゃん。 俺、帰るわ」


「はい、そうしてください」


玄関に向かう松田さんの背中を追いかける。


「ちゃんと戸締まりしてね」


「はい」


眠かろうが松田さんはそこら辺は抜かりないようだ。

お姉ちゃんみたいで、楽しくなる。


“じゃあ、明日……”と言って、松田さんが玄関から姿を消す。

あたしは言われたように、玄関のカギを閉めた。