「大変じゃ…… ないんですか?」


「仕事が不規則だからね。 そりゃ、大変だけど……」


フォークを置いて、少し考える素振りをみせる。


「仕事、好きだから」


――― あっ。

松田さん、仕事…… 本当に好きなんだ。


“ほら、手が止まっている”と言って、あたしに食べることを促す。


あたしは急いで、手を動かす。


「紗雪ちゃんって、今は…… 大学2年?」


「はい、2年です」


「“ハタチかー”と懐かしそうに笑って“羨ましい”と言った。


「学生の内がたくさん遊べるからたくさん遊んでおきな」


「それ、お姉ちゃんにも言われます」


「美春先輩が!?」


「はい。 あたしが遊びに行ったりすると“今のうちに遊びな”って、毎回のように言います」


お姉ちゃんは今年になって、仕事が増えたがら前のように遊んではいられなくなった。

でも、仕事は仕事で楽しいらしく“出張いやだなー”なんて言いながらも“お土産、買ってくるから”って言いながら、家を出て行く。


そういったとこは、お姉ちゃんらしくて好き。