松田さんは松田さんで。


「じゃあ、よろしくね」


なんて言って、あたしに笑いかけてくる。


松田さんと無条件で会えるんだけど。


「松田さんは本当にいいんですか?」


「ん? なにが」


「あたしなんかの面倒を押し付けられて」


あたしは松田さんに会えることが嬉しいけど…… 松田さんは?

松田さんにだって、自分の時間があるはずだ。


「あたしなんかのために、時間使わないでください」


「大丈夫、それは紗雪ちゃんが心配することじゃないから」


「でも……」


納得しないあたしの頭に…… 大きな手が乗った。


「紗雪ちゃんの様子をちょっとみたら俺は帰るから、ね? 紗雪ちゃんは気にしないで」


そういいながら、あたしの頭を撫でてくれた―――。


やっぱり、松田さんの手は大きくて…… 温かい。

ずっと、触れていたくなる。


「よろしく、お願いします……」


あたしは温かさに釣られるように…… そう、返事をした。