ちらっと――― お姉ちゃんに視線を移したけど。

すぐに、あたしに視線を戻した。


「紗雪ちゃんが選んでくれたの?」


「お姉ちゃん、です」


「そっか、ありがとう」


へへっ、選んだり買ってきてくれたのはお姉ちゃんだけど……。

あたしに“ありがとう”って言われているみたいで得したな。

今度はあたしが買ってこよう。


松田さんは甘いものが食べられないわけじゃないからね。

なにがいいかな?


…… あっ、クッキーとか自分で作ってみようかな?

お菓子作りは大好き。


「紗雪ちゃんはケーキ、好き?」


「はい、好きです」


緊張してうまく話せないあたしに優しく話しかけてくれて、あたしが話しやすいようにしてくれる。


「陽斗くん、この連休は暇?」


後ろに立つお姉ちゃんが、不意に話し出した。

あたしと視線を合わせていた松田さんが、ちらりとお姉ちゃんを見上げる。