校舎?

また、どうして……。


「“彼氏”としては“彼女”がどんなとこで勉強しているのか見てみたい」


“彼氏―――”

“彼女―――”


改めて、そうやって言われると照れる。


「なら、行きましょう。 文化祭中なんで、見学できるとこは限られていますけどね」


熱を持った頬を隠すように、俯きながら立ち上がる。

手は忙しなくゴミを片づける。


カフェテリアを離れ、少し静かな校舎に向かった。

松田さんは周りにたくさんの人が居ようとも、気にせずあたしの手を取り前に足を進めた。

久しぶりに繋いだ松田さんの手から、いつもの優しさをたくさん感じた。


「紗雪ちゃんはここで勉強しているんだー」


なんて、感慨深く言うと真剣な目をして展示されている留学した人たちの報告を見ていた。


ここでわかったこと。

松田さんは英語がそんなに得意ではないらしく、時々留学の報告を読んでいて、英語で書かれてあると眉を寄せていた。

こんな表情を見るのは当然始めてで、あたしはひっそり陰から観察していた。