「紗雪ちゃん?」


「……」


あたしが反応を示さないせいか、松田さんが首を傾げた。


そもそも…… どうして、あたしの名前を知っているんだろう?


「紗雪ちゃんのことは、大学のときに美春先輩からきかされていたからね」


「はぁー」


間の抜けた声しか出ない。


「はい、缶コーヒー」


「ありがとうございます」


松田さんが座っていて、あたしが立っているので――― 必然的に松田さんがあたしを見上げる形になる。


「今日はアイスにしてみた」


「ホットもアイスも、どちらでも嬉しいです」


あたしが飲めるわけじゃないけど。


「本当に……」


松田さんがあたしを見つめて。


「本当に、お姉ちゃんに似てないね」


「はいぃぃ?」


ちょっと待ってよ。 この間は“お姉ちゃんと似ている”っていったじゃん!

どっちが正しいの?


「美春先輩は、綺麗っていうか…… まぁ、そんな感じ」


お姉ちゃんは身長が170近くあって、足が長くて細くて…… あたしだってうらやましいスタイルの持ち主なんだ。