「こんにちは!!」


明日香が元気よく挨拶をする。


「…… ??」


明日香が最初に視界に入ったのか、松田さんは不思議そうな顔をした。

しかし、明日香の後ろに腕を引かれるように立っているあたしを見つけ、松田さんはすぐにいつもの優しい笑みを浮かべた。


「“明日香ちゃん―――” かな?」


そう言って、パタンとケータイをたたんでカバンに仕舞った。


「えっ…… あ、はい。 倉持 明日香です」


「うん、いつも紗雪ちゃんから話を聞いていたからすぐにわかったよ」


やっぱりか。

松田さんと明日香が会うのは今日が初めてだ。

でもそんな松田さんが明日香を一発でわかるなんて、あたしの周辺を理解していることだ。


「紗雪ちゃんは学校ではどう? ちゃんとしっかりしている?」


「ちょっ、松田さん!! 明日香になんてことを聞くんですか!」


後ろで大人しくしていたあたしもつい、前に出てきてしまう内容なだけに、あたふたしてしまった。