明日香があたしの腕を痛いくらいに叩いて、校門前にいる人物を指差す。


「ねぇ、ねぇ!! あそこでケータイをいじっている人?」


「うん、そう」


校門の周辺にはたくさんの人がいる。

その中で、ひとりで立っていて、ケータイをいじっている人は一人しかいない。


「うわー、かっこいいねー」


「うん、かっこいい」


改めて……。

校門の周りにいる、学生や、一般来場者と比べて、松田さんは群を抜いてかっこいい。

遠くから女子の集団が松田さんの方を見てコソコソ話しているくらいだもん。

あんなカッコイイ人が、あたしの彼氏なんだよね。

…… ちょっと、信じられない。


「松田さんに挨拶しなきゃ!!」


「えー、恥ずかしいよー」


「紗雪の友達の明日香ですって、言わなきゃだよー!! ほら、急ぐよッッ」


明日香はあたしの腕を掴んだと思ったら、勢いよく走り出した。

そして、松田さんのもとへやってきた―――。