自分では“結構しっかりしている―――”って思っていただけに、ショックは大きい。


「でも、あたしは紗雪がたまに見せるそういったとこが可愛くて、好きなんだよねー」


そう言って、ガチャガチャとメイクポーチにコスメを閉まっていく。

いつも明日香はやや大きめ――― 掌より少し大きいポーチにはたくさん入っているけど、その中身はいまだに謎が多い。

コスメがたくさん入っているんだろうけど、そんなに必要なのかって思わせるほど入っている。


「紗雪、松田さんにちゃーんと甘えてきなー。 松田さん、絶対に喜ぶから」


「努力する……」


「さーて、行きますかー!! 校門」


あぁ、気がついたら明日香がメイクポーチに全て片付け終え、ちゃっかり自分のメイクまで直しているよ。

しっかりしているなー。


二人で席を立ち、校門へ向かう。


「明日香は午後、どうするの?」


「この間、サークル長に商学部の先輩を紹介してもらって今日、一緒に回る約束したんだよねー」


「合コンじゃないんだ。 めっずらしー」


明日香っていつも、合コンに参加していたと思っていたけど、今回は違うんだ。

珍しい。

そんなに商学部の先輩は明日香のお気に入りなんだろうか。