「こらっ、目を開けない」


「あっ、ごめん」


寂しがり屋に甘えん坊なんて、言われたことないから少し驚いてしまった。

そのせいで、目を開けてしまった。


でも、あたしってそんなに寂しがり屋で甘えん坊だろうか?

末っ子ではあるけど、そんなに甘えん坊ではないと自負している。

でもでも、どこにあたしにそんな要素があるんだろうか?


「紗雪が“わがまま”って言っているわけじゃないよ?

でも紗雪、お姉ちゃんが出張だとあからさまに寂しそうな雰囲気出しているじゃん。 あと、頭とか撫でられるの、好きでしょ」


“はい、目を開けてー”と言われて、目を開ける。

アイラインを引き終え、メイクの最終チェックを明日香が行っている。

でも、口は相変わらずよく動く。


「紗雪って見た目はしっかり者って感じだけど、中身は全然違うんだよね」


笑いながら明日香が言う。


「……」


そうか、明日香にはあたしって“寂しがり屋”で“甘えん坊”って性格だって思われていたのか。

そう思われていて、そして自分に“寂しがり屋”で“甘えん坊”と言う性格があったということにややショックだ。