“また会いたいな”なんて、思っていた…… それは、案外早くやってきた。


松田さんとお姉ちゃんと関係を知った翌週の金曜日……。


「あっ……」


松田さんがドアの前に座っていた。


あたしの足音に気づいたのか、松田さんが顔をあげてあたしをとらえる。


「おかえり」


顔をくしゃっと崩して、あたしに微笑みかけてくれた。

その表情にあたしの胸は大きく打ち付ける。


「ただいま、です」


松田さんはどうしてこんなとこに座っているんだろう?

日も当たらないこの寒い廊下で、ビニール袋をぶら下げてただ座っているだけ。

部屋のカギでも落としたんだろうか?


「なにしているんですか?」


つい、気になって――― 尋ねてしまった。


「紗雪ちゃんを待っていた」


えっ――― あたし?

あたしを待っていたの?