もしかして…… !!

なんて二人で思っていると、今度はあたしのケータイが鳴った。


「もしもし」


「ちょっと、紗雪ー、陽斗くんの部屋にいるんでしょー。 早く開けてよー」


「わかったから、ちょっと待ってね」


やっぱり、あのチャイムを鳴らしたのはお姉ちゃんだった。

薄々“お姉ちゃんではないだろうか―――” と、二人とも察していた。


「美春先輩かー。 早く開けないと怒られるね」


きっとお姉ちゃんはあたしが松田さんの部屋にいるっとメールしたから急いで帰ってきたと思う。

だって、お姉ちゃんも松田さんの料理が好きだからね。


あたしは名残惜しいけど、松田さんの腕の中から出て行く。


松田さんは立ち上がって、玄関の方に向かう。

しかし、何かを思い出したように急に立ち止まった。

くるっと振り返り…… 再び、あたしの方に向かってきた。

なんだろうと思い、首を傾げながらその様子を見ていると。


「――― んっ!!」


優しくて温かい唇が、おでこに振ってきた―――。