「~~~ッッ!」


も、もう、何するんですか。

こんなことされるのは当然、初めてだから…… どうしていいのか、わからない。


「紗雪ちゃん」


ほら、そうやってまた耳元であたしの名前を呼ぶ。

こんな近くで、甘い声であたしの名前を呼ばないで。


「かわいいよ」


「もう、離して下さいー」


「かわいいから、このままで」


そう言って、少し力強く抱きしめられた。


このままとか、無理なんだけど……。

やっぱり松田さんはあたしの肩に顔を埋めて……時々、あたしの耳で遊ぶ。


「紗雪ちゃんって、耳が弱い?」


「弱いとか、わかりません」


松田さんが耳を触る度に、くすぐったくてしょうがない。

できれば今すぐあたしの耳からてを離して欲しいけど、この腕の中からは出たくない。

もう少しだけ、抱っこしていて欲しいな。


「そういえば…… 美春先輩は今日、ここに紗雪ちゃんがいることを知っているの?」


「知っていますよ。 さっきメールしましたし……」


そんなことを話していると…… ピンポーンと、軽快なチャイムが鳴った。