「ねぇ、お姉ちゃん?」


「なに?」


車に乗って、助手席に座るあたしはお姉ちゃんに尋ねる。


「松田さんと知り合いだったの?」


「…… 陽斗くんねー」


くすくすっと笑った。

“大学の後輩だったの”お姉ちゃんはそう言って、松田さんのことを教えてくれた。


松田さんはお姉ちゃんが大学3年のとき、入学してきた。


当時は松田ではなく、春原だったみたいだけど。


「あたしが卒業してお母さんが再婚して、春原から松田に変わったんだって」


お姉ちゃんは卒業したから、松田さんのお母さんが再婚したことは知らなかったんだ。


「でも全然気づかなかったなー」


いいな、お姉ちゃん。

昔の松田さんを知っているんだから。

あたしなんて、今の眠そうな松田さんしか知らないや。


「紗雪がなにか困ったら、陽斗くんに相談しな? あたしはたまに家を空けちゃうから」


「うん、わかった」


松田さん……。

また、会いたいな?