「紗雪ちゃんはかわいいなー」


そう言ってまた、強く抱きしめられた。

手は頭に伸びてきてあたしの頭を撫でる。


「まつださぁぁーん!!」


「はいはい、泣かないの。 泣かない」


子供をあやすみたいに優しく撫でてくれる。


“子供じゃない”けど…… こうやってバカみたいに泣いているあたしは、子供なんだろうな。

そりゃ、松田さんより年下だし…… 大学生だから、子供なんだろうけど。


「ほらほら、泣かないのー」


こうやって言う松田さんは…… なんだか楽しそうで。


「楽しんでいますよね?」


松田さんの胸に顔を埋めてそう聞けば。


「うん、楽しい」


なんて答えが返ってきた。


た、楽しいて……。

楽しいんですか!!

人が勝手にだけど悩んでいたのに…… それなのに楽しいって。


「なんで楽しんでいるんですか!!」


バッと顔を上げると…… 松田さんが楽ししそうに笑っている。

笑っている松田さんを見ると、悩んでいたあたしがバカみたいに思えてくる。