このままだったらあたし…… 松田さんに嫌われちゃうかな?

別れるしか無いのかな?


スっと立ち上がり、松田さんにいるキッチンに入った。

あたしの気配を感じた松田さんは、包丁で野菜を着る手を止めた。


「紗雪ちゃん、どうした?」


「……」


「紗雪ちゃん?」


別れたくない。

こんなにも好きなのに……。


きゅっと松田さんに裾を握った。


「別れたくないよぉー」


「はぁ、えっ…… どうしたの?」


包丁をまな板の上に置き、濡れていた手をタオルで拭き、まぶたにその手が伸びてきた。


気づかないうちに…… あたしは泣いていたみたい。


「紗雪ちゃん、どうしたの?」


「松田さん。 嘘…… ついていて、ごめんなさい」


「え、嘘?」


「コーヒー、飲めないんです」


「…… あぁ、それか」


納得したのか、クスッと笑い――― あたしは、なぜか抱きしめられた。