あたしは、確信犯だ。

“松田さんの手料理”なら、必然的に松田さんの部屋で食べることになる。

あたしとお姉ちゃんの部屋の冷蔵庫は食材が無いから却下。


「ダメ、ですか?」


「うーん、そんないいものは作れないけど…… いい?」


「はい」


結局、何処へ行くこともなく松田さんに手を引かれてマンションに戻り、松田さんの部屋に入る。


「少し座って待っていてね」


「はい……」


松田さんには付き合い始めてから何度かご飯を作ってもらったことがある。

最初の頃は手伝おうと思って“手伝います!!”って言ったけど“座っていて”と言われてキッチンを追い返される。

その繰り返しなので、最近は大人しくテレビの前に座るようになった。


キッチンからカチャカチャ音が聞こえる。

普段なら松田さんから話しかけてくれるので“会話”があったのに…… 今日は松田さんが話しかけてもくれない。


やっぱり…… 松田さんはあたしが秘密にしていたことを怒っているんだ。

そうだ、絶対そうだ。