カチカチッとパソコンをいじっていたと思ったら……。

店長さんがパソコンから目を離さず、あたしに話しかけてきた。


「紗雪ちゃん、だっけ?」


「はい、井上 紗雪です」


「陽斗は優しいか?」


「はい、とっても優しいです……」


本人――― 松田さんを前にこんなことをいうのは恥ずかしいけど、今は店長さんの前。

恥ずかしい気持ちもあるけど、本音が溢れた。


店長さんは背が高くて、少し体格がいい。

松田さんは背は高いけど、どちらかというと細いほうだと思う。

なので、松田さんと比べると少し大きな人で、近づきにくく感じていた。

けど、話してみると、優しくて、どこか松田さんと同じ暖かさを感じる。


「いつもごめんな、陽斗を早く帰してあげられなくて。 全然、会えないだろ?」


「そんなことないです。 少しの時間でも、松田さん、会いに来てくれますし…… それに、毎日欠かさずメールだけはくれますので」


「ありがとうな。 本当は彼女できたの知っていたから、早く帰してあげたいんだけど、どうしても今は人が少なくて……」


どうやら、数ヶ月前に夜勤のアルバイトさんがやめてしまったらしい。

なので、社員さんで補ったりしているみたい。