えっ―――。

なんだろう、何かひっかかる。


「美春先輩も、妹がこんなに可愛かったら心配が絶えないですね」


「ちょっ! どーしてあなたが、あたしの名前を知っているの」


今、お姉ちゃんを“美春”って言った!

表札には“井上”しか書いてないから、お姉ちゃんの名前を知らないはずなのに。


「俺、美春先輩と一緒の大学だったんですよ。 でも、今は苗字が変わって松田ですけど、学生時代は“春原 陽斗(スノハラ・ハルト)”だったんです。
…… 覚えてますか?」


「…… あの、春原くん?」


「お久しぶりです。 美春先輩」


えーっっ!

お姉ちゃんと松田さんって、知り合いだったの!?

それも…… お姉ちゃんの後輩。


「えーっ! 全然、気づかなかったー、元気そうだね」


「ありがとうございます。 美春先輩も相変わらずで」