マンションにつく間―――。

あたしたちの手は離れることは無かった。

生温かい夜風があたしたちを肌をなでる。


「美春先輩、紗雪ちゃんが大好きだねー」


「そうですかね? でも、嫌いじゃないです」


「紗雪ちゃんは美春先輩が大好きだよね?」


「好きです」


松田さんの次ですけど。

こんなこと、本人を目の前にして絶対に言えないのでひっそりと心の中に仕舞っておく。


ちらっと松田さんを見上げた。

ただ、手を繋いでいるだけだけど、少し微笑んでいるようにも見える。

もしかして…… 松田さんも、手をつなげて嬉しいのかな?

あたしと同じかな?

…… なんて、図々しくも思ってしまった。


帰りは松田さんとなぜか、お姉ちゃんの話で盛り上がった。

学生のときのお姉ちゃんの話はあまり聞いたことが無かったこともあり、新鮮だった。


松田さんから聞いたことだけど、昔からお姉ちゃんは松田さんをからかっていたみたい。

それは今も変わらないけど、そんなお姉ちゃんの様子を聞けることが――― 嬉しくもなった。