「はいっ、次が最後!!」


そう言って、松田さんは力強くあたしの背中を押した。

今まで、1番高く上がって行き。


「きゃー!!」


あたしの声も、ひときわ大きく響き渡る。


それからは、揺れが収まるのを待って。


「どう、久しぶりのブランコは?」


後ろから覗き込むようにして、そう聞かれた。

背中に感じる松田さんの熱にドキドキしているけど、どうか松田さんに伝わりませんように。


「もうっ、急に押すんですもん!! 怖かったですよ」


「でも、楽しかったでしょ?」


そりゃ…… 楽しかったけど。

楽しかったけど……。


少し怖かった。


「ゴメンネ、調子に乗って」


「……」


「紗雪ちゃん?」


「ちゃんと反省しています?」


ちょっとだけ怒ったようにそう言えば、松田さんは少しだけ慌てたようにあたしの前に回り込んで膝をついて、目線をあたしと一緒にした。


「紗雪ちゃんが楽しそうに笑うものだから…… つい、調子に乗りすぎました。 お詫びに紗雪ちゃんのお願いを聞いてあげるから、許して?」


お願い?

それってなんでもいいのかな?


「お願い、聞いてくれますか?」