「俺さ、女の子が好きそうなお店って知らないんだ。 だから、紗雪ちゃんはどこか行きたいところはある?」


階段を降りながら松田さんに尋ねられた。


行きたいとこ…… どこだろう?


「松田さんと一緒ならどこでも嬉しいです!!」


そう言うと…… 松田さんが驚いた顔をして、一歩後ろを歩くあたしに振り向いた。


何か変なことでも言ったかな?

松田さんと一緒ならどこでも嬉しいんだけど。


「紗雪ちゃんにそうやって言ってもらえて嬉しいよ。 俺も紗雪ちゃんとならどこでも嬉しいから」


松田さんと同じ気持ちだ。


二人で並びながら、マンションから離れていく。

今は駅の方に向かっている。

駅の方は色々あるので、そこで食事をするのかな?


「松田さんって普段、どこに行かれるんですか?」


「俺? 俺はよく、上司と一緒に居酒屋に行くよ。 俺の上司さ、すっげー酒が好きで、付き合わされるんだ」


居酒屋さん!!

行ってみたい。


「でも、今日は行かないからね」