「――― ゆき、紗雪」


「ん?」


「紗雪?」


お姉ちゃん?

お姉ちゃんがどうして?


「ほら起きて、帰るよ」


ゆっくりあたしの頭も覚醒し始めて……。


「お姉ちゃん!!」


飛び起きた―――。


「はい、おはよー。 よく寝ていたね」


あたりを見回せば、ここは松田さんの部屋で、あたしにはタオルケットが掛かっている。

キッチンの方には松田さんがいて、水の音とカチャカチャ食器のぶつかる音がする。


松田さんの腕の中が気持ち良かったのは覚えている。

それで、結局そのまま寝ちゃったんだ。


「紗雪、ごめんね。 急いで帰ってきたんだけど、20:00になっちゃった」


もう20:00なんだ。


「陽斗くんが“サラダパスタ”を作ってくれたから、一緒に食べよ?」


松田さんの料理!!

食べる、食べたい。

前に作ってもらったとき、あたしの胃袋を持って行かれたんだ。


松田さんが、作ってくれたパスタはやっぱり美味しくて、今夜もやられた。


松田さんの部屋をあとにするとき、そっと耳元で言われた。


「連絡するから―――」


そう言われて、頭をくしゃくしゃを撫でられて顔を真っ赤にしてあたしは松田さんの部屋をあとにした。