「あっ、あの!!」


「ん、なに?」


ストンと松田さんの横に座り、俯く。


聞きたいことがあるけど…… どう聞いていいのかわからない。

聞かれたら嫌なことかな?


「紗雪ちゃん」


あたしの名前を呼んで、松田さんはあたしと向き合い、あたしの背中に腕を回した。

松田さんに腕の中に収まってしまった。


「なにか言いたいこと?」


コクッと小さく頷く。


あたしと松田さんはそれなりに身長差がある。

だから、どうしても松田さんの方があたしを見下ろす形になる。


「紗雪ちゃん、言って?」


「……」


改めて“言って”と言われると…… 言いにくいったらない。


「紗雪ちゃん」


でも、どうしてかな?

松田さんがあたしを呼ぶだけで、魔法にかかったみたいになる。


「松田さんって……」


「うん」


「松田さんって、ご兄弟はいらっしゃるんですか?」