「でもさー、一歩間違えたら陽斗くんって変人だよ?」


なんて、お姉ちゃんにしみじみ言われた。


「だってさー、陽斗くんって紗雪と話したかったからお菓子なりコーヒーなりたまに渡していたんでしょ?」


えっ、そうなの?

知らなかった。

たまたまだと思ってたんだけど……。


「普通さ、知らない人から貰ったら怪しいと思うでしょ?」


「だから、毎回コンビニの袋に入れて渡していたじゃないですか」


「中身がそのコンビニかなんて、わからないしー」


お姉ちゃん……。

絶対に酔っているでしょ?


夕食後“一杯だけー、一杯だけー”なんて言って、缶ビールをあけたはいいけど。

さっきから、その一杯は越えている。


「もうさー、好きだったら好きって言っちゃえば良かったんだよー」


「だから、さっき言ったじゃないですか」


松田さんはやっぱり優しいなー。

こんな酔っぱらいのお姉ちゃんの相手をちゃんとしてくれるんだもん。

松田さんだって、仕事終わりで疲れているはずなのに……。


松田さんは仕事終わりで疲れているって分かっているけど…… もう少し一緒にいたくて、あたしはチマチマオレンジジュースを飲んでいる。