「はい、陽斗くん」


「あっ、どうも……」


「これ、紗雪に」


お姉ちゃんからお茶碗を受け取って、あたしに渡してくれる。

松田さんが差し出してくれたお茶碗を受け取ったときも指が触れて―――。


「――― !!」


二人で反応してしまった。


「二人ともー」


もう、お姉ちゃんは呆れている。


「陽斗くんはもう“大人”なんだから、そんなかわいい反応したって“気持ち悪い”だけなんだから」


「ちょっ、美春先輩!!」


気持ち悪いって……。

お姉ちゃん、それは松田さんにひどいって。

松田さんは気持ち悪いなんてありえない。

彼女だからとかじゃなくて、松田さんは絶対にかっこいいんだから!!


「紗雪がびくっとしても、かわいいからいいけど…… 陽斗くんはねー」


「ちょっ、美春先輩!! 紗雪ちゃんがかわいいのは知ってます」


「当たり前でしょ? あたしの妹なんだから」


「美春先輩の妹だからとか関係なく、紗雪ちゃんはかわいいんです」