時間が、止まったのでは……。


カチカチと時計の音と、お姉ちゃんの使っている水道の音だけがする。


「紗雪ちゃんのこと、引っ越してきてからずっと気になっていた。
美春先輩の妹だってわかっていたけど、好きになった……」


「……」


「ずっと仲良くなりたかったからお菓子とかコーヒーとか渡して、話す機会ずっと作っていたんだ……」


あっ、そうだったんだ。

だから、あんなにあたしに与えてくれていたんだ……。


「好きです。 付き合ってください」


「――― はい」


きれいで、背か高くて、なんでもできちゃうお姉ちゃんじゃなくて。

あたしを選んでくれた。


かっこいいな――― なんて思っていた松田さん。

そんな松田さんが今日から、彼氏になった。