グルグル喉を鳴らす音。
垂れ落ちる滴の音。
ヒタヒタと近づいてくる足音。

そして、少し離れた場所で息を潜めながらそれを見つめる男の微かな息遣いの音が耳を支配する。

グッと少女は懐に入れた分厚い本を握りしめ、ギュッと両の目を硬く瞑った。


届けたかった、どうしても――!!


これだけはどうしても届けたかったのに、その願いは無慈悲に打ち砕かれてしまった。


今度こそ、もうどうしようもない!!


そう思った時だった。

すうっと……閉ざされた真っ暗な世界に一筋の青白い光が差したのは――!!