太陽も月も怒りに震えていた。

昼を守り、夜を愛でる両親の心中を想えば一刻も早く事態を収拾せねばならないことをディーノは痛いくらい分かっていた。


昼と夜。


その均衡が破られる事があってはならない。

夜を支配する血族の王として。
その血族唯一無二の存在として。


また最後の生き残りとして。


それは絶対に避けねばならない。


そのために母体を破壊しなければ――


しかし、卵を産み落とし続けている母体をいまだディーノは見つけられずにいた。

寸前まで追い詰めたのはいつだったか――それ以来、あの存在は姿をくらませたまま、今もどこかで醜悪な魂たちを産み落とし続けている。


「待っていろ、リザネロ」


ギリッと強く唇を噛みしめてディーノは小さく呟いた。

宿敵である母体の名をただ静かにディーノは呟いたのだった。