すると、沖田さんは静かに立ち上がった
「今の時間なら、お風呂が空いてます。僕が見張ってるんで、入りますか?」
お風呂!
実は、私はお風呂が大好きなのです!
「では、お願いいたします!」
私は、沖田さんに案内されてお風呂までたどり着いた
すると、沖田さんが手を差し出した
「太刀と風呂敷、預かりますよ?」
私は正直少し躊躇った
これは、和宮様から頂いた大切な太刀だし、風呂敷の中には、私の身元が分かってしまう物が入っている
下手しても見られたり取られたりしてはいけない
私が考えていると
「僕は、中をみたり取ったりしないから、安心して」
私は、沖田さんの目を真っ直ぐみた
私は、今まで城に来た色々な人の目を見てきた
城にくるのは、大体ずるい方法で高い位を貰おうとか、兄上や、私に気に入られようとした濁った目の人が多い
たまに、澄んだ真っ直ぐな目をした人もいたけれど……
例えば、会津藩藩主の松平なんかは、城に来た中では珍しく真っ直ぐな目をしていた
私の目は請えている
だから、嘘を言っているかなんて、すぐ分かってしまう
今の沖田さんの目は、嘘を言っていない
「では、お願いいたします」
私は沖田さんを信じる事にした
「はい、お願いされました」
沖田さんはニコニコ笑顔で太刀と風呂敷を受け取った


