文久3年、弥生の4日
雪もとけ、春の草花が新芽を出し始め、心地よい春風がふきわたる今日この頃
私は、籠にユラユラ揺られながら京の町へ向かっている
私は、和宮様のご協力もあり、なんとか兄上を説得することに成功した
私は、兄上の少しあとを籠に乗って進んでいる
私の周りには、6人の家来が囲む用にして歩いている
これでは、とてもじゃないけど抜け出すなんて出来ない
それに、天皇陛下に御逢いすると言うことで、いつもより何枚も多く着物を羽織っている
それに、髪も豪華に結い、簪をこれでもかと言うくらい、飾ってある
まぁ、流石に嫌だったので、化粧は薄化粧にしてもらった
それにしても……
今更自分の考えの甘さにうなだれた
私は、籠に揺られながら考えた
まだ城をでたばかりで、まだまだ時間はたくさんある
私は、城をでるまえに、和宮様から頂いた太刀をみつめた
名前は、「千年桜(センネンザクラ)」
これを渡されたときの和宮様の言葉を思い出す
『この太刀は、天皇家に代々伝わる太刀です……女には千年桜……男には神鬼桜(ジンギザクラ)が受け継がれているのです』
『これは、貴女の決意と覚悟の証です……必ず幸せをつかむのですよ?……貴女はわたくしの大切な妹なのですから』
和宮様……
私は、
この、徳川風珱は、必ず自由を背負って御見せします
それまで、暫しお待ちを


