部屋に戻り、私は城下町を眺めていた
もうすぐ私もあそこにいってみせる
幸せになってみせる
私にとって、美しさとか【桜鈴姫】と言う名誉なんて要らなかった
私は、ただ、自分の思うように、自由に生きたかった
今の私には、決意と覚悟がある
全てを捨ててここを抜け出す決意
ここには二度と戻って来ない覚悟
自由を背負う覚悟
「じぃ………───貴方なら分かってくれますよね?」
すると、じぃが一礼して部屋にはいってきた
「姫様……明日はどうしたしますか?」
じぃの言葉は、返事はしなくとも伝わってきた
『それが姫様の御幸せなら……───』
そう言う意味で、じぃは微笑んだように私には見えた
私もそれに答えるよう微笑んだ
「明日は、兄上に用事があるので、お訪ねするつもりです」


