「なっ、なにをおっしゃいますか!?わっ、私が綺麗なんて、冗談もほどほどにいたしてください」
すると、和宮様は口をぽかんとあけた
「あら……──これは重症ね……」
「いま何かおっしゃいますたか?」
「いいえ……それより、お話し聞かせてください?ねっ?いいでしょう?」
私は和宮様の言葉に唖然とした
私がお話しを聞きに来たのに、逆にお願いされている
「お話しとは……?」
私が聞くと、和宮様は目を輝かせた
「そうね……──ここは、この日の本の中枢でしょう?きっと、色々な人がいらっしゃったり、訪ねて来たりするでしょう?」
「はい……──」
「この江戸城で風珱さんが出会った面白い人や、出来事を教えてくださらない?」
意外だ……──
意外過ぎる
あの、優雅で美しい和宮様がこんなにはしゃいでいらっしゃるなんて
私はよく考えた……───
面白い人……──
面白い事……───
「面白いというか、大変だったというかなんというか……──」
私が言うと、和宮様は目を輝かせた
「いいわ、聞かせてください」
「では………───これは、私の母上様の、実成院のお話しです……────


