「和宮でございます……」
綺麗な声と共に、美しい女性が現れた
部屋には、兄上、私に、老中、その他、幹部の中でも位が上の人だけが代表で来ていた
すると、和宮様は優雅な無駄の無い動きで兄上の前にお座りになられた
そして、丁寧に頭を下げて
「和宮でございます……──どうかよろしくお願いいたします」
すると、兄上も頭を下げた
「こちらこそ、よろしく頼む」
それをみて、和宮様は少し驚いたが、今度は優しく微笑んだ
「貴方はきっと素敵な方なのでしょう……──」
それだけ言って、一礼して部屋をでた
「家茂様?どうかなされましたか?」
老中に尋ねられ、ハッと我に帰った兄上は
「では、部屋に戻るとするかのぅ……──」
と優しく微笑んだ
そして、私に
「風珱……感謝しておるぞ」
と言い残し、部屋をでた
あぁ……───
兄上は、見つけたのですね
大切にすべき者を
お分かりになられたのですね……───
ご自分の立場と、仕事を


