あれから、母上様はお帰りになって、少し月日がたった


私は、無事に今日も生きている


もう、神無月の十日



最近、城や城下町が騒がしい


じぃに聞いた所、最近、尊皇攘夷派の浪士たちが、なにやら騒ぎを起こしているらしい


日に日に酷くなる動きに、兄上も頭を悩ませていた気がする


そのために和宮様が来るのだけど……



まぁ、私にとっては感謝ですね



今日は、少し体の調子が悪いので、部屋で休んでいる


私はいつものように外を眺めていた


すると、不意に襖があいた


「何奴じゃっ!!……───て、兄上……おはいりになられるのなら、一つ声をおかけください」


すると、兄上は


「すまん……」


とおっしゃったあと、今度は、将軍には似合わぬ、今にも泣きそうな顔をした



「風珱〜……儂は、間違っておるか?間違っておるのかぁ?」


そう言って、私にすりよってきた


「兄上!おやめください……お話は今からよくお聞きいたしますから」


すると、観念したのか私から離れた


兄上は、何かある時はすぐに私に相談と言うか愚痴というかをいいにくる



「風珱……儂は、今回の和宮さんとの婚約にまだ納得できないのだ……」