錦さんは、八木邸の前まで送ってくれた


「じゃあ、風珱ちゃん、またね」


「はい、今日はありがとうございました」


最後に錦さんは私の頭をぽんと撫でてから、前川邸に帰っていった



手には、今日買った着物を


頭には、今日交換してもらった簪をつけて、私は斉藤さんの部屋に向かった




………はずだった








「やっぱり、明るくないとわかりません…」


道に迷いました


どおしましょう


とりあえず、目の前のお部屋にお邪魔しましょう



「失礼します、風珱です」


すると、

「風珱か……はいれ」



トシさんの声



よかった……


私が部屋に入ると、トシさんは何やらむずかしい書き物をしていた