その日は雨が降っていた
太陽は雲に隠され、まだ昼間だというのに辺りは薄暗く街路樹から滴る雨の雫が、まるで壊れた水道の蛇口のように激しく強く落ちては跳ねる
「キャー、チョベリバ!靴ビショビショじゃんか!つぅか具合悪っ!クラブ行けなくね?」
サトエが走りながら叫ぶ
その隣では美佳が………
「チョベリグー……最高……カモーン雨……」
降りしきる雨に身を任せ両手を広げてうっとりとした表情を浮かべていた
「はぁ?おめぇ馬鹿?なっからウケるんだけど!」
サトエの声も耳に入らぬ様子だ
「ビバッ!雨!」
美佳は気付いていない……
雨を欲しているのは
――トゲだという事を………………………………………………………………………………………


