近づくにつれて大きくなる音に何故か胸の高鳴りを感じる。
それに、どこかで聞いた音楽……。
扉の前まで来ると、そっと扉に耳を当ててみた。
♪〜♪〜♪♪〜♪♪
あ………、
どこかで聞いただなんて…当たり前じゃないか。
だってこれは…。
「愛してるよ…」
つい、フレーズを口ずさんでいた。
これは、あの頃2人で聞いた歌。
あの頃の私たちを表した…歌だった。
『この歌、俺らそのまんまだよな』
『そうだね…、そっくり』
『…絶対、離さないよ』
―――離さないよ―……
「……っ…」
知らぬ間に…、涙が一粒一粒頬を伝った。
止めようとすればするほど止められなくて、必死に声を押し殺した。

