ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「ちょっ、離れろって! 気持ち悪ぃ」


野獣に肘で小突かれバランスを崩した俺は、転がるまいと左足を一歩踏み出して体重を支えた。



グニョ――



「ああああ、踏んだ、踏んじゃった、ああああ」


「うるせぇ、バカ、騒ぐな。何なんだ、一体?」


「あんたのせいだぁ、俺の新品のスニーカーがぁ~~。乃亜に頼みこんで買ってもらったのに~~。どうしてくれんだよ? この野蛮人が! 責任とれよ」


谷口さんのデニムジャケットの袖を掴んで、半べそかきながら訴えた。



「放せって、このバカ! てめぇ、今スニーカーがどうの言ってる場合か?」


谷口さんも、俺の手を振り払おうと必死に腕を上下させる。


周りの草がワッサワッサ揺れた。