ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

要件しか言わないせっかちさんなんか、俺の知り合いに山ほどいるが、俺の居場所を把握しているやつなんて一人しかいない。



野獣谷口。



くそっ。

まだ一口も食べていないのに。


愛しいハンバーグを限界まで口に詰め込んで、レシートを手に立ち上がった。



金を払って店を出ると、右方向から見慣れた漆黒の大型4WDが近づき、目の前で急停車。すぐさまその助手席に乗り込んだ。



ドアを閉めると同時に今度は急発進。

忙しいね、全く。



運転手の横顔をじっとり見詰め、ああ、やっぱり仕事か、と再確認したことにより気分が更に落ちる。



俺の食事を中断させたことに対して、何ら悪びれる様子もなく、


「龍から連絡があった。例の物、受け渡しは2時だ」


谷口さんの低い声が用件だけを告げた。