――この男の口を封じなければ。 当然、石原はそう考えた。だが、ここで殺るのはマズイ。 この場は何事もなくやり過ごすか。 「蜂須賀さんの忘れものって?」 親しげに男の腰に手を回して柔らかな声音で問う。と同時に、石原は男のジャケットのサイドポケットから、携帯電話を抜き取った。 これに、人一人吹き飛ばすだけの爆弾を仕掛けて、後で男に返せば良い。 「そうだ、財布を……。あの人、サザエさんかよ、まったく」 すっかり気を許したのか、冗談すら口にし、男は部屋を見回した。