――――数時間前――――


AM11:18。




とあるワンルームマンションの一室に石原雅は居た。


どう見ても必要性皆無のガラクタばかりが乱雑に散らばっており、足の踏み場もないような部屋だ。


その奥、窓際の角に置かれているパソコンからディスクを抜き取った石原は、それを元通りプラスチックケースに収め、着ているデニムジャケットの内ポケットに、スルリと滑り込ませた。



ガチャリ――


ドアが開く音がやけに響いた。



石原は、何事もなかったかのように、意識的に平静を装い、ゆっくりと振り返る。



「てめぇ、ここで何してやがる?」

石原の存在を認めるなり、たった今入室したばかりの男は唸った。


乱暴に靴を脱ぎ捨てると、殴りかからんばかりの険しい形相をして、大股で歩み寄る。