ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

どうすりゃいんだよ。

坂下を死なせたら駄目だ。それこそ誰も救われねぇよ。



と、ガラッと大きな音を立てて、入口のスライドドアが勢いよく開いた。と同時に、

「動くな」

聞きなれた声が、静かなリハ室に響き渡った。



あんた、何言ってんだよ。今正に死のうとしてるヤツに、銃口向けて脅して、一体何の意味があんだよ?


一瞬でも、助かったと思った俺がバカだった。



動きにくそうな黒のタイトスーツを身に纏い、気持ち悪いぐらいに整った甘いハーフ顔の男。

ハリウッドスターばりのセクシーさは、とぼけたことを言ったって、何ら霞むことなく……っておかしいだろ?



だがしかし、俺の焦燥なんかお構いなしに、兄貴はもう一度繰り返す。



「動くな、坂下――

――弾が外れる」


えっ、そっち? 『脅し』じゃなくて『お願い』?



その瞬間、銃声が二つ、ほとんど同時に轟いた。