ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

だけど坂下は、

「どうでもいいっつってんだろ。もう、どうだっていい。ムツのことも佐村も、何もかも。血清なんかで生かされるぐらいなら……」

ボソボソと覇気のない声でうわ言のように呟いて、右手に握っている銃の筒先を自分のこめかみにピタリとつけた。



なんでだ? なんでこうなる?



「よせ、坂下。死んだら何も解決しねぇよ。佐村たちの悪事を全て暴くには、お前の証言が要る。絶対に要る。睦月くんはそれを望んでんだよ。わかってんだろ?」


「俺は消える。だから関係ねぇ。俺の行先なんか地獄だろうけどよー、

全ては、神の思し召しのままに」


坂下は、セイフティレバーを引いた。



「いい加減気付けよ、坂下。神なんかいねぇよ。だから信じたって救われない。罪を犯すのが人間なら――

――それを赦すのも人間なんだよっ!」


無我夢中で叫んだ。自分が何言ってるかも良くわからないまま、とにかく必死で坂下の心に訴えた。


けれど坂下は全く動じることなく、静かに両瞼を伏せた。


もう、俺の声なんか聞こえてない。ヤツの穏やかな表情を見ればそれは明らかだ。