ヒゲが血清を持って来たってことは、感染しちゃっても平気? というか俺、もう感染してるんじゃね?
ああもう、つべこべ考えている暇なんかない。とにかく感染OKでファイナルアンサーだ。今俺がやるべきこと、それは坂下の身柄拘束。
「ヒゲ、こいつを頼む」
佐村の腕を掬い取って、ヒゲにぶつける勢いで押し付けた。
が、ヒゲはあろうことか両手ホールドアップの格好で、
「無理。それは専門外」
などと言ってヘラリと笑いやがる。
「あっそっ、じゃあ頼まねぇし」
言いながら手錠を取り出して、ヒゲと佐村の手首を繋ぐ。そのまま二人仲良く窓の外へと押し出してやった。
「おまっ! 別に俺じゃなくても……柱でも何でもいいだろうが!」
「悪ぃけど一緒にお利口しててよ。お兄ちゃんはお仕事行ってきます」
言って、手を額へ持っていき敬礼のポーズ。
「なーにが『お兄ちゃん』だ! おい、待てクソガキっ! 外せー!」
ヒゲの叫びなんか構わずピシャリ、窓を閉めた。
そうしてから振り返れば、坂下は先ほどと全く同じ位置に、呆然として佇んでいた。
「坂下」
穏やかに呼びかけて、慎重にじわりじわりと距離を詰める。
坂下は顔をこちらに向けるが、その眼差しは虚ろで視点も定まらない。
ああもう、つべこべ考えている暇なんかない。とにかく感染OKでファイナルアンサーだ。今俺がやるべきこと、それは坂下の身柄拘束。
「ヒゲ、こいつを頼む」
佐村の腕を掬い取って、ヒゲにぶつける勢いで押し付けた。
が、ヒゲはあろうことか両手ホールドアップの格好で、
「無理。それは専門外」
などと言ってヘラリと笑いやがる。
「あっそっ、じゃあ頼まねぇし」
言いながら手錠を取り出して、ヒゲと佐村の手首を繋ぐ。そのまま二人仲良く窓の外へと押し出してやった。
「おまっ! 別に俺じゃなくても……柱でも何でもいいだろうが!」
「悪ぃけど一緒にお利口しててよ。お兄ちゃんはお仕事行ってきます」
言って、手を額へ持っていき敬礼のポーズ。
「なーにが『お兄ちゃん』だ! おい、待てクソガキっ! 外せー!」
ヒゲの叫びなんか構わずピシャリ、窓を閉めた。
そうしてから振り返れば、坂下は先ほどと全く同じ位置に、呆然として佇んでいた。
「坂下」
穏やかに呼びかけて、慎重にじわりじわりと距離を詰める。
坂下は顔をこちらに向けるが、その眼差しは虚ろで視点も定まらない。



