「なな」
自分可愛さに、そんな純粋な睦月くんを裏切っていいのか?
「ろく」
よくねぇよ。いいわけねぇだろ? 何考えてんだ、俺。
「ごー」
坂下も、俺たちを殺さねぇって約束、睦月くんとしたんだ。
「よん」
俺がこのまま残れば――
――もしかしたらウィルス拡散を阻止できんじゃね?
「さん……」
死に対する恐怖で俺の心は何度も揺れたけど……。
それでも最後まで、俺はその場から一歩も動かなかった。
坂下は『ぜろ』まで数え終えても、酷く落ち着いていた。
俺が逃げようが逃げまいが、坂下にとって、どうやら本当にどうでもいいことだったみたいだ。
薄っすらと期待した俺がバカだった。
「ゲーム、オーバー」
坂下はゆっくりと、やけにもったいつけて言う。
そして――
持っていたガラス瓶をその場に落とすかと思いきや、何故だか下投げで俺に向かって放った。
放物線を描いて宙に舞うそれ。俺の目には、なんだかスローモーションのように映った。
余裕じゃん。やっぱ坂下は、睦月くんとの約束を破れなかった。
落下地点を予測し、そこへ移動して待ち構えた。
自分可愛さに、そんな純粋な睦月くんを裏切っていいのか?
「ろく」
よくねぇよ。いいわけねぇだろ? 何考えてんだ、俺。
「ごー」
坂下も、俺たちを殺さねぇって約束、睦月くんとしたんだ。
「よん」
俺がこのまま残れば――
――もしかしたらウィルス拡散を阻止できんじゃね?
「さん……」
死に対する恐怖で俺の心は何度も揺れたけど……。
それでも最後まで、俺はその場から一歩も動かなかった。
坂下は『ぜろ』まで数え終えても、酷く落ち着いていた。
俺が逃げようが逃げまいが、坂下にとって、どうやら本当にどうでもいいことだったみたいだ。
薄っすらと期待した俺がバカだった。
「ゲーム、オーバー」
坂下はゆっくりと、やけにもったいつけて言う。
そして――
持っていたガラス瓶をその場に落とすかと思いきや、何故だか下投げで俺に向かって放った。
放物線を描いて宙に舞うそれ。俺の目には、なんだかスローモーションのように映った。
余裕じゃん。やっぱ坂下は、睦月くんとの約束を破れなかった。
落下地点を予測し、そこへ移動して待ち構えた。



