ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

けどすぐ視線を俺に戻し、

「という訳だ。そろそろ二人っきりにしてくんねぇかなぁ。それとも――

――お前も俺たちと一緒に裁かれてぇか?」

言って、不敵な笑みを浮かべた。



「いや俺は……裁かれたところで間違いなくセーフだけど……でも遠慮しとくわ」


「ならさっさとここから出て行け。いつまでもお前の相手ばっかしてらんねぇんだよ。悪ぃな」


「別に俺、お前に相手して欲しいわけじゃねぇよ? 人の事、『かまってちゃん』みたいに言うの止めてくれる?」


「白々しい時間稼ぎトークはそこまでだ。お前に10秒やる。死にたくなきゃ、安全なところへ逃げたらどうだ? まぁ俺はどっちでもいいけどな」


本当にどうでも良さそうに言いやがる。



そして――

手にしているガラス瓶を、ほんの少し持ち上げて見せた。



坂下はそれを、床に落として割るつもりらしい。そしたら当然、室内の空気はウィルスに汚染される。確実に三人は感染。

助かる確率は20%、死ぬ確率は80%。



「じゅう」


坂下がカウントダウンを始めた。

どうする? 俺……。



「きゅう」


逃げるか? 佐村も坂下も正真正銘悪党だ。見殺しにしたって罰は当たらない。



「はち」


けど睦月くんとの約束は? 彼は俺を信じて、死のうとしていたところを思い留まってくれた。きっと今頃は署に戻っているはず。