坂下、佐村、そして俺。リハ室に三人だけが残った。
とりあえず、関係のない市民を巻き込むという最悪の事態は免れた――と思う。
けどホッと一息つく暇もなく、坂下が口を開く。
「最後はお前だ、有坂皆人。さっさと出てけ。外で事情聴取でも何でも、好きなことやってろ」
「いいや、俺の用はまだ済んでない」
言いながら、坂下に向かって、人差し指を真っ直ぐ突きだした。
「坂下亮人、お前を殺人未遂の現行犯で逮捕する」
「未遂じゃねぇよ?」
坂下はシレッとそんなことを言って、屈託なく笑った。
「いいや、お前の計画は未遂に終わる。睦月くんと約束したしね。男だったら一度した約束は何があっても守らねぇと。だろ?」
「お前、なんか勘違いしてねぇか? ムツ(睦月)と何約束したかしんねぇけど、あいつは俺に寝返ったんだ。言ってみりゃ裏切りものだろ?」
「なぁーに言っちゃってんだよ。寝返ったように見せかけて、実はそれもこっちの作戦だよ。まさかこんなにも易々と騙されてくれるなんてな。ありがとね?」
「へぇ……お前って、嘘吐く時、右の眉が上がるんだな?」
「何だとぉ? 嘘なんかじゃねぇしっ!」
ハッタリだと見透かされ、焦って言い返すもドツボ。無意識に視線を落として、小さく舌を鳴らした。
そんな俺を嘲笑う坂下の声が、リハ室の中、嫌味なぐらいに響き渡る。
とりあえず、関係のない市民を巻き込むという最悪の事態は免れた――と思う。
けどホッと一息つく暇もなく、坂下が口を開く。
「最後はお前だ、有坂皆人。さっさと出てけ。外で事情聴取でも何でも、好きなことやってろ」
「いいや、俺の用はまだ済んでない」
言いながら、坂下に向かって、人差し指を真っ直ぐ突きだした。
「坂下亮人、お前を殺人未遂の現行犯で逮捕する」
「未遂じゃねぇよ?」
坂下はシレッとそんなことを言って、屈託なく笑った。
「いいや、お前の計画は未遂に終わる。睦月くんと約束したしね。男だったら一度した約束は何があっても守らねぇと。だろ?」
「お前、なんか勘違いしてねぇか? ムツ(睦月)と何約束したかしんねぇけど、あいつは俺に寝返ったんだ。言ってみりゃ裏切りものだろ?」
「なぁーに言っちゃってんだよ。寝返ったように見せかけて、実はそれもこっちの作戦だよ。まさかこんなにも易々と騙されてくれるなんてな。ありがとね?」
「へぇ……お前って、嘘吐く時、右の眉が上がるんだな?」
「何だとぉ? 嘘なんかじゃねぇしっ!」
ハッタリだと見透かされ、焦って言い返すもドツボ。無意識に視線を落として、小さく舌を鳴らした。
そんな俺を嘲笑う坂下の声が、リハ室の中、嫌味なぐらいに響き渡る。



