そこで一息吐いた森本先生。よっぽど話し辛いんだろう、その表情からはかなりの疲弊が見てとれた。


「続けてください」

構わず先を促した。


間宮くんの舌打ちが聞こえたような気がしたけど、そんなのはどうでもいい。

どうせまた、刑事には心がないのかっていうアレだ。無意味で無駄な正義感にはうんざりだ。逆に、心で事件が解決できんのかって言ってやりたいね。



「館長室の電話に繋ぐように言われ、その通りにしました」


「電話の内容は?」


「館長は館長室に籠ってしまったので、電話の内容はわかりません。ですけどその後、電話を終えたらしい館長に、三木さんたちが呼ばれました」


最初は一言一言、躊躇いがちに口にしていた彼女だったけど、段々トークがノッてきたようで、その日の出来事の一部始終を、一気に語り終えた。



彼女の話はこうだ。


館長室から言い争う声が聞こえたので、心配になって様子を窺いに行ったが、部屋に入るのは躊躇われたため、扉の外から聞き耳を立てていた。


『あんたのせいだ。あんたのせいで罪のない子どもたちが狙われてんじゃないか』という三木の声。対する館長は『こんなもん、脅しに決まってるだろ? アイツの目的は子どもらじゃない、俺たちだ』と軽くあしらう。